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未完成

2009.05.05 *Tue
人が完成するとは、どういうことなのだろう?
そして、未完成とは、どこからどこまでをさすのだろう?

未完成 (白泉社花丸文庫BLACK)未完成 (白泉社花丸文庫BLACK)
(2009/04/17)
凪良 ゆう

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高校生。
そう呼ばれた時が、自分にもあったこと――。
妙に中途半端に、怒っていたり戸惑っていたり、自分で自分を持て余していたり。そのくせ、どこかで「自分は大丈夫だ」と根拠のない自信を持っていたり。
今思い返せば、取るに足らない些細なことで悩んだり、自分が苦しかったり傷ついたりすると衝動的に誰かを傷つけたくなったり。
そんな時間が確かにあったことを、思い出した。

高校生にもなれば、自分の環境とか自分の遠くない未来とか、見たくもないものが見えてくるし、聞きたくないことも聞こえてくる。
それまで、ただ甘えて従っていればよかった周りの声が、自分とは違うものを求めていることに気がついたりもする。
自分には自分の主張もあるけれど、それを推し進めるノウハウなど何もなくて、でも、周りの言うことに頷くだけではいられない。
自分の足下が見えない怖さを感じながら、仲間とつるんでいても怖いとは言えない若さ。

攻めの櫂人は、そんなどこにでもいる、ありきたりの高校生だけど、家庭は崩壊寸前でした。
病的な母親との暮らしに疲れた(と、私は勝手に解釈しました)父親が外に女を作り、その女との間に子供までもうけて、母との離婚を求めているから。
櫂人はきっと、母親の言い分も父親の言い分も半分納得しながら、でも、納得したくない。
自分がそんな二人の関係に傷ついているのも、判っているけど判りたくはない。
近寄ってくる女子とすぐにつきあうけど、つきあいはあくまでも身体と表面的な部分だけ。立ち入りすぎる女子ならすぐ切るのは、そんな風に傷ついたり、苦しいことから目を背けているかっこ悪い自分を見られたくないからかも。
櫂人は、話の最初、本当に自分勝手で人の痛みなんて思うことさえない、どこをどう見ても良いところなんて見つけられそうにない子供(ガキ)な高校生です。
その櫂人が、自分が通う高校の英語教師・阿南の性癖を偶然知ったことから、櫂人の阿南に対する視線がかわります。
普段は目立たない大人しそうな英語教師の、普段生徒にはけっして見せない顔を、偶然とはいえ自分だけが見たこと、それはちょっとした優越感でしかなかったはずなのに、家に帰るのも友達とつるむのにも嫌気がさしたとき、櫂人が行ったのは、その阿南の部屋でした。

櫂人の急な訪問に眉をひそめた阿南が、それでも櫂人を部屋に入れたのは、櫂人の様子が変だったからだと容易に想像がつくのですが、櫂人はきっとそんな阿南の気持ちには気がついてなくて、だからそのまま時間を潰して阿南に送られて家まで帰ったのですが、その家で待っていたのは、予測通りの修羅場で。
そこで阿南は櫂人の抱える闇と、それをどうすることもできない教師としての自分を認識したのではないかと思うのですが、それはあくまで推測です。
でも、櫂人と阿南の関係は、確かにこの時から変わっていきます。
鬱屈した時間を埋めるかのように、阿南の部屋に通い詰める櫂人と、櫂人に向かってそのドアを開ける阿南。
そこには、ある種の緊張を伴った穏やかな時間がありました。
でも、、そんな時間は長く続きませんでした。
浮気をいぶかしむ彼女をなだめるためだけにセックスした櫂人は、自分の欲望がどこに向いているのかを、その時はっきり認識したからです。
その後、櫂人はそれこそ若さ故の暴走とともに、阿南を抱きます。
そして、抱いてしまえば余計に想いは募り、櫂人はますます阿南以外の何も見えなくなり、そんな櫂人の情熱に流されるように、阿南の気持ちも櫂人に開かれていくように見えました。
でも、櫂人にとっての幸せの時間は、両親の離婚によって終わりを告げます。
両親に対する気持ちは元々最悪だった櫂人が、唯一求めた阿南との時間。
しかし、それを守るためなら学校をやめて働くことさえかまわないと、そういう同じ唇で、遠恋は無理だとあっさりと言ってしまう櫂人の、その若さ――いえ、幼さを阿南はどんな気持ちで見つめていたのでしょうか?
10歳も年上の教師としての自分が、その全てを捧げたとしても支えきれないかもしれない教え子の櫂人。
二人が同じように若くて無分別な子供同士なら、と、もしかしたら阿南はそう想うこともあったかもしれないですね。でも現実には、阿南は少なくとも櫂人よりは大人で分別も先を読む目もあったから。
色々なことから目を背け、耳を塞げたなら、一瞬だけなら夢を見ることもできるかもしれない。でも、それは多分一瞬でしかなく、きっと穏やかに続く未来はない。
そんな運命を、好きな相手に辿らせたくはない。
そんなことを考えて、大人の自分が最後まで何も言わずに、櫂人を切ることにしたんだと思います。
でも、子供の情熱は、熱量だけは無闇矢鱈にありました。
最後の最後に、阿南は櫂人に自分の想いをぶつけます。
でも、それでも、互いが選べたのは、結局別れでした。
櫂人は、阿南を想う日々の中で色々なことを考え成長していて、だからこそ、阿南を壊すかもしれない選択ができなかった。
阿南は、櫂人に引きずられるように、一度は大人の分別をかなぐり捨てたりもしたけれど、それでも、やっぱり櫂人の未来を壊すことも、先の見えない恐怖と戦うこともできなかった。

ここで終わっても、話としては悲恋ながら成立すると思うし、文章次第では感涙の嵐を呼ぶ作品になったのではないかと思うのですが、この話は、ここから数年後の二人の再会と再出発(恋人としての)で終わっています。
その、再会のシーンが、くっつきそうなのになかなかくっつかなくいシーンが、自分からは手を伸ばせない、櫂人よりは大人のはずの阿南の気持ちがポロポロ落っこちてくるみたいで、読み終わるとしみじみと「良かったな」と思わせます。

18歳と28歳。それから、22歳と32歳。
考えてみればそのどの年齢でも、まだまだ未完成です。
でも、18歳と28歳が一緒にいれば、どうしても28歳のほうに社会的責任は求められるだろうし、ましてや教師と生徒では分が悪い。教師への目が厳しくなるのは仕方がないことだと思います。
でも、22歳と32歳なら。
少なくとも、法律上は同じ土俵に立つことができて、社会的責任もイーブンじゃないでしょうか?
でも、それでも、彼らはまだ未完成。
こう書いている私も、人としてはまだまだ未完成です。
でも、未完成だからこそ、明日を夢見て過ごすことができるし、色々なものを諦めず頑張ることもできる気がします。

…なんだか、粗筋なのか感想なのかよくわからない文章になってしまいましたが、とりあえず一途な恋心を読みたい方には、是非読んで欲しいと思います。



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今は無き「青磁ビブロス」が出していた、雑誌化される前の「b-boy」の記念すべき第1巻から読んでいる、筋金入り腐女子です。
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