FC2ブログ

スポンサーサイト

--.--.-- *--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

普通のひと

2009.05.04 *Mon
普通ってなんですか?
普通って、きっと、そう呼ぶ個々によって異なっているはずなのに、でも、普通なんですよね。
そして、そう思う私だって、普通、と言う言葉に縛られて生きています。

普通のひと (SHYノベルス)普通のひと (SHYノベルス)
(2009/03/28)
榎田 尤利

商品詳細を見る



分厚い本です。って、当たり前ですね。
この本、以前に出された文庫2冊をまとめたものです。(今回、書き下ろし短編が追加されてます)

もちろん、と言って良いかどうかは判りませんが、私は前の文庫2冊も書店に並んだその日に買って読んでいます。前はイラストが宮本佳野さんで、どう見ても「通勤途中の中年がくたびれて居眠りしている」としか思えない表紙に惹かれて、一冊目の文庫を買ったのでした。
そして、その時も「普通」について考えさせられたのですが、再読しても同じでした。
 
普通……私自身よく使う言葉です。
と言うよりも、幼い頃から主に母親に、「普通に育ってくれれば」とか「普通でいってくれればいい」とか言われてきました。(笑)
友人達と話すときでさえ「ふつー、そんなこと言わなくない?」とか、「ふつーだよね」とか、文字にしたら平仮名だと思える発音だったけれど、普通、と言う言葉を多用してきた気がします。
でも、普通、って、多分、人によって違う普通ですよね。
私が思う普通と、母親の思う普通、旦那さんの思う普通、親類・友人・同僚・上司……色々な人が思う普通。その中のどれだけが、ぴったり重なる普通なんでしょうか?
全員の普通がもし絵に描けたら、それぞれの絵はたくさん重なるかもしれないけど、少ししか重ならないかもしれない。
普通、と言うのもそんなものだと思います。
でも、それがわかっていても、普通でありたい、あってほしい。そう、考えることは多いです。
そして、それは、多分、歳を重ねるほどにそうなると思います。
失くすものが何もない子供より、失くすものをたくさん抱えた大人ほど、属する世界から異端視されることを恐れるから。
少し視点を変えれば、異端審問などされることのない現在でなら、自分の属する世界を変えることも可能なはずだとはすぐ判ります。でも、長く時間を過ごせば過ごすほど、そこを出て新しい世界の扉をたたくことに躊躇する気持ちが大きくなることも想像に難くないです。

この話の主人公達…38歳の宗憲と32歳の光也は、どこをどうとって見ても普通(笑)の人です。
だからこそ、自分自身がそれまで培ってきた、それまで疑問など何一つ覚えなかったセクシャリティーに疑問を感じるような相手と出会ったことに困惑し、動揺し、狼狽します。
私的に「こんな上司がいたら良いな」と思った宗憲も、狼狽して、あまりに浅慮な行動をしてしまったり、光也も思うことの半分も言えなかったり。
これ、相手が女性だったらきっと話はすごく簡単で、それこそ、それなりに大人な二人は上手に立ち回ったと思うのに、自分自身の常識の中の普通外にあった恋愛だったからどうして良いか判らない。
それこそ、自分の相手に対する気持ちが「恋」だと、認めることすら、努力を要するのです。
その葛藤が、古いのに新鮮でした。
そして、この葛藤は、二人の年齢にも起因するのかな、とも思います。

38歳の宗憲はバツイチで、会社でもそこそこ人望がある中間管理職。
38歳と言うことは、ストレートに大学を卒業して就職したとすれば、社会に出て16年です。そりゃ、学生とは違って苦労と辛酸を、人生の経験値に積んでます。だからこそ厳しくて優しいんですよね。
そして、それは勤め先が潰れて、好きなことだけをしていては生きていけないと、デザイナーから編集者に変わった光也も同じこと。
変な話ですが、何かを諦めたり、辛いことを乗り越えたりするほど、失くせないものは増える気がします。だから、宗憲も光也も、相手を欲しいと思いつ欲しいと言えない。宗憲に至っては、そんな気持ちを認めたくない。
38年培ってきた、宗憲の中の普通に、同性へのそんな感情は無かったし、世間の多数派で居たいなら、その気持ちは障害にしかならないものだから。
だから、最初は光也の気持ちすら無かったことにしようとして失敗するんですが、もし。
もしも、宗憲が18歳だったら。――けっこう、気持ちのままに、もっと早い段階で光也を押し倒してたんじゃないでしょうか?
まあ、そうなると、違う話になっちゃうんですけど。
でも、そんな気がしてなりません。
想像でしかないですが、宗憲は聖人君子じゃない、普通の人なので(笑)。

さて、最後に一つだけ気になったことを。
ここまで、私自身が「普通」と書き重ねてきて何ですが、実は、今回再読して、違う意味で気になったのも、この「普通」という言葉でした。
最初に読んだときには、考えさせられる部分にばかり気持ちがいっていて気がつかなかったんですが、初回よりは多少の余裕を持って読んだ今回は、あまりにたくさん使われている「普通」という言葉が途中からちょっと気になりました。
それは作者の意図であるとは思うのですが、過ぎたるは及ばざるがごとし、的な感覚とでも言えば良いでしょうか。ただ、それは多分、私自身の言葉そのものに対する感性なので、人によって受け取り方は違うと思うので、気にならない方も多いかな?

とにかく、ある意味初恋にも似た、初めての同性への想いにグルグルする、かわいい社会人(中年とは言いたくない)の話が読みたい方に、おすすめします。
もーう、見て判るとおりのこの厚さ。読み応えは充分です!
スポンサーサイト

COMMENT

Comment Form


秘密にする
 


TRACKBACK

TrackBack List



ABOUT THIS BLOG

このブログは、管理人・游の購入本リストの色合いが強いため、感想はほとんど全て「続きを読む」からの入力となります。…「続きを読む」があれば感想は必ずあります。 もちろん、リンクフリーですが、出来ればご一報下さい。 尚、このブログは、時折、パッタリと更新が途絶えます。お許し下さい。 m(_ _)m



プロフィール

游(ゆう)

Author:游(ゆう)
今は無き「青磁ビブロス」が出していた、雑誌化される前の「b-boy」の記念すべき第1巻から読んでいる、筋金入り腐女子です。
食べることが大好きで、タベログ系のブログ のほほ~んとネコな日々 もあります。游の日常をお知りになりたい方は、どうぞこちらへ♪(…そんな人居ない?)
*Twitter始めました。fukufukunekoで呟いてます。



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



カテゴリ



リンク  v(*'-^*)v♪

(リンクさせて頂いた順に並んでます)

このブログをリンクに追加する



Yuu's List

游の所持する、もしくは一時は所持した書籍のリストです。 重複外防止のために作ったデータですので、この2年くらいの間に手放したものもあるし、今はpdfにしちゃったものも含んでます。 (外部HPに飛びます.ご注意下さい)



最近読んだ本

フラフラとネットを渡り歩いていたら、読書メーターなるものを発見。面白そうなのでお試し運用中!

游の最近読んだ本



FC2カウンター



12
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
Copyright © 同じ本は何冊も要らない… All Rights Reserved.
テンプレート配布者: サリイ  ・・・  素材: bee
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。